第63回グラミー賞とBTS
明日は、アジア人である私たちにとって、音楽業界における歴史的な日になるかもしれません。
日本時間15日に第63回のグラミー賞各部門の発表、授賞式があります。
その中の、BestPopDuo/GroupPerformance部門に、BTSという韓国の7人組男性グループがノミネートされいます。さまざまな差別や偏見から若ものたちを自らが盾になって守る、という意味の「防弾少年団」というグループ名で、7年前に小さなレコード会社からデビューしました。アイドル文化の盛んな韓国では、大きな事務所がいくつかあり、彼らはその中でたくさんの難しい階段を1段1段昇り、さまざまな試練や困難を乗り越えて、ここまでたどり着いた才能豊かな美しい男の子たちです。防弾少年団を応援して守る、という意味で、彼らのファンダムをArmyといいます。明日のグラミー賞の結果は、彼ら7人と応援してきたアーミーのこれまでの人生の結果が出る一つの区切りになります。
これまでアジア人がグラミー賞の各賞を取ったことはありません。
今回ノミネートされた「Dynamite」は、英語の曲ではありますが、基本的に彼らは母国語の韓国語の曲で活動しています。アジア圏の言語で歌うアーテイストが受賞するのも初になります。
そして大きな背景として、まだまだアメリカの音楽業界は、アジア人への偏見が残っていて、それは簡単に払拭されるはずもない、ということです。ただ、反対に有色人種や女性への偏見に対する大きな抗議の波も起き始めていて、それがかえって彼らを後押しすることになるかもしれない、という意見もあります。
同じ賞には、ジャスティンビーバーやレディガガなど著名なアーティストが名を連ねています。その中で、彼らが受賞できるかどうかは大変注目されていますし、彼らがもし受賞したら、とても歴史的で画期的な出来事になります。
世界の音楽業界にとって、パンデミックを経験した世界がどのような形で音楽に今後関わっていくか、何を認めていくか、そして、世界の音楽界の中でのアジア人の地位、これからのジェンダー社会の方向性、など多くのことが問われるとても重要な日だとも勝手に思っています。
「Dynamite」という曲は、コロナの蔓延する今の世の中で、少しでも明るく楽しく生きていこうよ、人生はまだまだ続くよ、という思いが込められています。コロナがなかったら生まれていなかった曲です。
メンバーの人間性や彼らの音楽、パフォーマンスの完成度、などについては、たくさんの情報が溢れていますので、ご興味があれば是非。(沼に落ちていくのをご覚悟の上で・・)
メンバーの中に、英語がとても堪能で頭脳明晰なRMというリーダーがいます。彼は、数々のマスメディアで素晴らしいスピーチを行っています。 ↓ は、国連総会で、ユニセフのグローバルサポーターとして、世界中の若者に、「Love myself」、まずは自分自身を愛そう、という感動的なスピーチを行った時の映像です。
是非、クリックしてご覧になってみてください。涙が止まらなくなります。
反日の国の人、とか、韓国はちょっと、、という先入観はちょっと置いておいて、若い人たちに是非聞いていただきたい。子供たちに関わる仕事をしている私は切に思います。
そして、以下↓は、彼が、グラミー賞授賞式を前に話した、若者に向けてのメッセージです。
「何かを成し遂げたように見える人に、「僕たちもできたから君たちも絶対できる。」そう言われても僕はあまり信じません。さまざまな複雑な理由で苦しんでいる世界の若い世代に「僕たちはできます、頑張りましょう」と単純に言うのは無礼かもしれないと思います。
ただ僕が言いたいのは、「それでも希望がある」ということ。
人生は予測不能で不確かなものです。
だからこそ生きる価値があり、楽しいものだと思います。」
グラミー候補や受賞することより、自分たちはパフォーマーなので、グラミーの舞台でパフォーマンスをすることが大事で嬉しい、と言っています。
当日は、BTSはパフォーマンスアーティストに選ばれています。
コロナで渡米はできないので、韓国の某高層ビルの屋上で、かなり豪華なパフォーマンスをするという情報があります。
結果よりも、彼らの目標であったグラミーのパフォーマンスを、私はとても楽しみにしています。